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#5:恐怖心を煽る

今年の日本滞在は、ロゴナンバーのプロモーションのために8ヶ月も費やしてしまったせいで、ニューヨークに帰ってからの私に対する家族の対応は何故かよそよそしい。その妻のご機嫌伺いということでもないが、彼女にノートPCをプレゼントすることにした。物持ちがよいことに、今では滅多にお目にかかれないトラックボール付きのDELLのノートPCに、WIN98SEを乗せていまだに使っていたのだから、買い替えの良いタイミングだ。

マンハッタンでPCを買うなら、新しい商品が他店よりも豊富で、店員の対応や商品知識が及第点のJ&RDATA VISIONが良いとされている。うちの近所の東86ストリートは、BEST BUYCIRCUIT CITYP.C. Richard & Sonなど全米展開の大型家電量販店がひしめく激戦区だが、それぞれPCの品数はあまり充実していないのだ。

さて、ちょっとした買い物をする場合、米国ではコンパリソン・サイトで商品の価格やサービス内容のチェックをすることがもはや普通になっている。数年前までは、同じ商品でも店によって価格のバラつきがあったため、安い店を見つける目的で使用されていたが、比較サイトがこれだけ一般的になった今では、小売店同士も競合他社の商品情報を把握しているため、もはや価格に大きな差はなくなって(オンライン・ショップを除く)きた。現在の比較サイトの利用価値としては、日々刻々と変わるセール商品を見つけるためであったり、米国の複雑なサービス料金(特に携帯電話)の比較に使ったりするなど、用途は常に変化しているようだ。最近では、高騰するガソリン価格を比べるのに重宝である。
 
ok.jpg■ 主なコンパリソン・サイト
PriceGrabber
BizRate
my Simon
shopping.com

このような状況のなか、PCの小売店はどのように対処しているかというと、たとえば保証サービスの強引な押し売りがある。客が商品を購入する段になって、通常1年しか保証がついていないノートPCに『更に3年の国際保証をつけて特別価格の170ドルでどうだ』と持ちかけてくるのだ。マクドナルドでサイドオーダーを薦められるのに似ているが、デザートのアップルパイぐらいならば気軽に注文できても、3年の保証となると躊躇する。しかも、製造元の保証ではなく「店の保証」というのが気にかかる。店員はしきりに1年以降に起こるかも知れない様々なアクシデントをまくしたて、保証が切れるとどれだけ修理負担がかかるを力説したが、140ドルまで下げた時点で私はキッパリと断った。なにせ、妻のDELLのInspironは、7年近くも故障せずに使えたのだから。

消費者の心理として、1000ドル以上の買い物をする場合、その1割程度の保証金につい承諾してしまいそうになるけれど、考えてみればこれも大きな買い物である。かくして、比較サイトが普及した影響で、PC小売店の店員はサイト情報が及ばない部分で消費者の恐怖心をあおって、少しでも売上げを伸ばそうと躍起になっているのだ。
by clairvoyant1000 | 2005-10-26 13:56


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