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#41:フジヤマ・ゲイシャ?

1122.jpgユニクロがタクシーの広告スペースを使って大規模なキャンペーンを展開中。ついにこの秋、5番街にフラッグシップ・ストアをオープンする。

タクシーの広告は数種類を用意しているが、中でも目を引くのはカタカナのみの看板。白地に真っ赤なのシンプルな広告は、写真を使った広告よりも目立っている。このカタカナのみの看板がアメリカ人がどのような印象を抱くのかとても興味深い。ユニクロはニュージャージーのショッピングモールに一号店をオープン、ソーホーに期間限定の店舗を構え、折り込み広告なども積極的に行われていたため、ブランド知名度は高まっている。

市内のエスニックタウンに行くと、外国語のみで書かれた看板に遭遇する。特に韓国系の看板はハングルのみを使ったものが多く、韓国人客のみをターゲットにしたビジネスをしている商店が多い。中国系は英語の商店名もつけているが、漢字とまったく異なる意味の英語が付けられてあり、英語だけ見ても何を売っている店かは分からない。英語では「American Dream」とあるのに、横には「○○肉食公司」とかと書かれていたりする。英語だけ見ても肉屋だとはアメリカ人には分からない。

しかし、このユニクロ広告は、エスニック看板とは違う機能を果たしているように思える。日本のアニメがこれだけ普及しており、言語はすべて吹き替えされているものの、中に出てくる商店などには日本語の看板がそのまま入っていたりする。袴を着た登場人物が日本的ジョークを連発するが、これがそのままアメリカの子供たちにすんなりと受け入れられている。アニメの英語ロゴもカタカナ風にデザインされていたりする。この看板のカタカナは文字としてではなく、グラフィックデザインとして機能しているのだろう。

先日、10歳の時に伊豆に2年間住んでいたという31歳のアメリカ人と話す機会があった。当時流行っていたマクドナルドのおまけやら、シェーキーズの「クレイジーピザ」など、ローカルネタで盛り上がったが、日本に対してエキゾチックという感覚よりも、クールな印象を持っていることを聞かされた。日本のアニメを見て育った20代・30代にとって、日本文化は「フジヤマ」「ゲイシャ」とは違う次元に存在しているのだ。ユニクロのカタカナ看板が若者が抱いている日本の「クールさ」のイメージにピタリとあえば、熾烈な競争を繰り広げるカジュアル服市場で勝ち残る可能性は高い。
by clairvoyant1000 | 2006-09-19 13:33 | 7)広告とadvertising


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