マンハッタンのOOHを観察していて、上手だなあと思わせるのは
1800FLAWERSである。最近でこそ、マス・メディア(TV、ラジオ、新聞、雑誌)にも広告を出稿するようになったが、ビジネスを始めた当初はカタログとトール・フリー(フリー・ダイヤル)によるダイレクト販売が中心であり、広告展開もフライヤー(ちらし)が中心だった。
このようなOOH広告群は、ビジネスが世界規模になったことによる結果的なメディア・ミックスであり「目的ではない」ということ。広告だけに頼ったマーケティングではないところが、この会社の強みでもある。
発足当初、AOLとのバナー提携の効果は絶大だった。その良好関係は続いているが、オリジナルのウェッブ・サイトにも細かいサービスが行き届いている。
ウェッブ・サイトと補完関係にあるカタログ。
ニューヨーク市内を縦横無尽に走る市営バスのボディ広告。表示面積も大きいため、路上を歩く歩行者に対して効果絶大だ。
全国的なオンライン販売が主体でも、実店舗を持つことで相乗効果もあがる。
「社名」と「ドメイン名」と「ロゴナンバーの電話番号」を共通にした見事なブランド戦略の好例。
ナスダックの壁面TVディスプレーは円柱形なので、タイムズ・スクエアのどこからでも見ることができる。
地下鉄の出入り口の広告は、利用者の目印にもなる。
動画の特性を活かして、安くて豊富な種類の花を数秒ごとに表示。
提携している花屋への卸売りのために走り回る配達用の車両も、広告塔として活躍している。何故なら、「ラスト・ミニッツ」のプレゼントとして街中でこの広告を見つけて電話で花を注文する消費者も多いのだ。(2006年3月10日)