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FREE RIDE!

ある日、地下鉄やバスに乗ろうとして、駅員や車掌さんから『今日はタダだよ』と言われたらどうだろうか?日本ではまず有り得ないことだが、ニューヨークではたまにある。(恐らく米国のどこでもそうだろう)



先週の土曜日の朝、近所にある地下鉄駅の改札口でメトロカードをスライドさせようとしたら、ゲートが取り外されそのまま素通りできた。つまり「無料」である。張り紙によると回転ゲートの取り替え工事によって金曜日からこの状態だという。駅員は、『FREE RIDE! 』とブースからマイクで連呼し、乗客はみな一様に嬉しそうな顔をして改札口を通り過ぎていく。

日本であれば、運賃収入を計算して事前に策を高じるところだろう。私の試算では、ざっと2万ドルを取り逸れたことになるが、米国人はそのような面倒なことは考えないのだ。そんな米国を、「いい加減な国」と取るか「大らかな国」と取るか様々だろう。

私は、日本人として長年ニューヨークで暮らしているが、理解し難い理不尽な出来事に遭遇することが今でもある。そんな時には腹を立てたり悩んだりもするが、このような出来事にはちいさなことでも嬉しくなる。これが米国なんだ、と。

そう、米国では良くも悪くも日常生活の中で思いがけないことが起こる。大袈裟かも知れないが、だからこそアメリカン・ドリームも身近な物として存在する。つまり「何でもアリ」なのだ。

さて、日本ではどうだろう? 多くの日本人は、自分に理解可能な範囲内にない物事はすべて不合理なものとして、考慮を払う価値のないものとして、無視し黙殺してしまうのではないだろうか? 竹村健一の決めセリフではないが、日本の常識が世界に通用すると思ったら大間違いだということを知っているだけでも役に立つ。

地下鉄構内に響く『FREE RIDE! 』という、無愛想でちょっと自慢気な駅員の声を聞きながらそう思った。
by clairvoyant1000 | 2005-03-22 02:34 | filler


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