独身が多いマンハッタンで、異性との出会いのチャンスを広げるためには犬を飼うという方法がある。散歩をさせていて、犬同士が「挨拶」をすれば、おのずと人間同士にも話すきっかけが生まれるというものだ。
私の観察では、犬を連れている若い女性にはステキな人が多い。とりわけ「セントラル・パーク」ではその確率が高い。六本木ヒルズあたりで「地元よ」と言わんばかりに、流行の犬を連れている成金姉ちゃんとは雲泥の差だ。
マンハッタンには「ドッグ・ラン」が完備されている公園も多く、うちの近所のカールシュワルツ・パークでは大型犬と小型犬とを分けて遊ばせられるようにもなっている。これはちょっとした犬の社交の場だ。
そこには「ドッグ・ウォーカー」もクライアントから預かった犬を連れてきている。犬を散歩させるのが職業の彼等は、数匹から時には十数匹も連れている場合もあり、まるで
鵜飼のような光景だ。
私は以前、友人が数週間留守をするというので、ミニチュア・ダックスフンドを預かってあげたことがある。
イーストリバー沿いにある、お気に入りの公園のドッグ・ランでその犬を散歩をさせていると、(なんと!)ご多分に漏れずステキな女性が私に話しかけてきた。
ステキな女性:「かわいいダックのお名前は?」
私:「ネイサンです」(ホットドッグ・ブランドの由来なので)
ステキな女性:「ところで、あなたの時給は幾ら?」
私:「ちくしょう、俺はドッグ・ウォーカーかよ!」