私がニューヨークに滞在している理由は、TVコマーシャルの撮影(12月中旬に納品済み)のほかに、ニュー・ビジネスの展開準備ともうひとつ、「アパート探し」だ。
家族とクリスマスのひと時を過ごすためでは決してないし、クリスマスが私の誕生日だからでもない。不動産ブローカー曰く「マンハッタンでは1月に大な動きがある」というが、同じアパートに10年も住んで飽きたのと、生活スタイルを変えてみたくなったのがその理由。ホテルのようなエントランスと広いロビー、大勢のドアマンやコンシェルジェ、スポーツ・ジムや高層ビルの窓からの眺望などもう要らない。そんなモノのために余分なレントを払いたくなくなった。だいいち、そんな身分ではない。
クリスマスの時期になるとビルのスタッフはとても機嫌が良くなる。テナント(居住者)はビルのスタッフに1年分のお礼としてチップを払う習慣があるからだ。今回も彼らに$20づつ(25名)払ったが、これも今年で最後になるだろう。※800世帯もある大きなアパートで、全ての住人から貰ったとしたらきっと彼らの1年分の給料よりも多いはずだ。ドアマンもエレベーターもランドリーもない小さなタウン・ハウスで、ちょっとぐらい不便な生活を味わってみたい。そして今まで払っていた余計な分を部屋に費やして生活スタイルを変えるのだ。もしかすると、そのほう贅沢かもしれない。
さて、米国の「アパート」とは、タウン・ハウスやコープ、コンドミニアムなどを総称する言葉であり、日本で使われているマンション(mansion)には当てはまらない。米国でマンションというと、かつてカーネギーやロックフェラーなどの大富豪が住んでいた豪邸のことを指す。(写真参照)
ゴルフ場のような広大な芝の周りは森の木々で覆われており、道端から建物を見ることはできない。道から正門まで車でも数分はかかるだろう。現在は博物館としてツーリストの観光コースになっており、ロードアイランド州にいくつか見ることができる。ロングアイランドのハンプトン界隈にも似たような建物があるが、これらはハリウッド・スターやビリオネアのサマー・ハウスである。
マンハッタンのちょっとしたアパートは、さしずめ日本の億ションと思えばよい。「オクション?」クシャミみたいな変な言葉だ。