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#43:めぐり廻るトレンド

ソーホーで大規模な広告展開をしている日系スニーカー・ブランド「オニツカ・タイガー」。日本では「アシックス」の名前で知られているメーカーだ。米国育ちの息子も、NIKEよりONITSUKAがお気に入りのようだ。onitsuka.jpg

広告には、色褪せたような色調で「盆栽」や「金魚」がプリントされており、決して派手ではないが、「東洋テースト」を前面に押し出したイメージの広告。
onitsuka-ad.jpgこのオニツカ・タイガーが注目を浴びたのは、映画「キル・ビル」でウマ・サーマンがブルース・リー風の黄色のつなぎにオニツカの黄色のスニーカーを履いて登場してからだ。

B級映画のテーストを音楽やファッションで大いに取り入れた同映画、アジアのB級テーストをレトロ感覚とともに復活させたと言っていい。
 
 
オニツカは、ハイテクを極めているナイキやプーマに対抗するのではなく、あえてパーソナリティーを際立たせた。スニーカーを履くのは、機能性やハイテク度を第一に考えるスポーツマンだけではない。アーティスト・タイプだってスニーカーを履くし、お洒落感覚でスニーカーを履きたい女性たちもいる。

多くのトレンドには何かとレトロのエッセンスが不可欠だったりする。レトロを取り入れると、心なしか肩の力が抜けたシックな印象になる。毎朝地下鉄M線で観察してみても、アーティストが多く住むウイリアムズバーグ付近から乗ってくる20代たちはオニツカを履いている人が多い。独特のカラー・コンビネーションが、彼らの気に入っているところなのだろうが、自分にとっては小学校時代を思い出してなんとも懐かしい気分になる。
 
当時は国産ではなく、海外ブランドにみんな憧れていた。ナイキのスニーカーの名前から、ヒューストンだのボストンだのとアメリカの都市名を覚えたものだった。サッカー部はアディダスやプーマ、陸上部やバスケ部はナイキ、という暗黙の了解なんてものもあった。歴史は廻ると言うが、時間だけでなく、流行の発信地も、広告やマーケティング次第でぐるりと廻ってくれるのだなあと感心した。
by clairvoyant1000 | 2006-10-10 13:31


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