#51:カジノ・ロワイヤル

映画を見終わったあと、「あるシーン」の意味が分からずモヤモヤしながら劇場を出た経験はないだろうか? 「007」のようなスパイ・シリーズには大抵お約束が幾つかあるが、それを知らないと面白さも半減してしまう。

例えば、最近の「カジノ・ロワイヤル」では、オメガ・シーマスター、アストン・マーティン、ソニー・バイオなどの商品がどれだけ巧みにプレースメントされているか…などということではない。
 
私が言いたいのはスパイが良く使う「ロゴナンバー」の手法が上手に取り入れられていたことだ。それに気がついていない人は、あのシーンでどうやってパスワードを入力したのかと分からなかったはず。じつはこの映画では、ふたつのロゴナンバーが使われている。
  
ひとつめは、ジェームズ・ボンドがマイアミ国際空港の爆破を計画しているテロリストを追い掛け回すシーン。スカイフリート社株の暴落を企む用意周到のテロリストは、空港職員に成りすまして構内を縦横無尽に逃げ回り、職員専用ドアも難なく通り抜ける。それを見つけたジェームズだが、それ以上は中に入れない。ドアのパスワードが分からないからだ。そこで携帯電話でMI6に連絡、空港で爆破テロが起きるぞ!とMを呼び出す。と一瞬、彼は携帯電話のキーパッドによってパスワードを思いつく…。
  
彼がひらめいたパスワードは「ELLIPSIS」。冒頭、某国大使館員の携帯電話に残っていた着信履歴で、当初は黒幕の名前かと思われていた意味不明の言葉だ。
 
本来「エリプシス」とは、何かを引きずっていることを示す省略記号のことで3つの点(…)で表示する。この空港ドアの場合、「ELLIPSIS」と入力したので、数字で言えば「35547747」を押したことに相当する。
 
ふたつ目のシーンは、スイス湖畔の療養所。ヴェスパーと心が通じ合い、ようやく恋人同士になる2人。そこにスイス銀行のマネージャーが訪れて、カード・ゲームで獲得した大金を英国へ送金手続きするところだ。ヴェスパーが銀行の口座番号を入力したあと、ジェームズ・ボンドが入力したパスワードが「VESPER」だったことを知り、彼女は改めて感動するのだった。この場合、数字で言えば「837737」を押したことに相当する。
 
電話器の数字部分に割り当てられたアルファベットの配列は「ITU」(International Telecommunication Union)の規格によって50年前から決められている。そして現在、電話に限らずATMやドアの施錠部分のキーパッドにもほぼ同じ規格(一部例外あり)が使われている。つまり、数字とアルファベットが併記されているので、意味のある言葉でパスワードを覚えることができるのだ。
 
現在、この暗号解読ができる携帯電話をみなが持っているのだから、もっと便利に活用すれば良いのではないだろうか。クレジット・カードの暗証番号とか、ネットのパスワードとか…。他愛の無いことだが、こういった言葉遊びの文化があってこそ映画のストーリーも面白くなるというものだ。
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by clairvoyant1000 | 2006-12-24 13:24


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