人気ブログランキング | 話題のタグを見る

コンタクトされたいの?

トールフリー(着信者による電話料金負担)のシステムは、企業と消費者を結ぶ「信頼のインフラ」とも言えるものだ。



日本企業はこの数年間、コンタクト・センターを次々に開設し、IVR(音声自動応答装置)、ACD(自動着信呼分配装置)、PBX(構内交換機)など、ハードウェア先行でCTIを駆使して消費者との新たな関係を築こうと努力してきた。しかし、マーケティングの機能をコンタクト・センター内に設置していない企業が多いため、そのシステムが有効に活用されず、かける方と受ける側のより良い「インフラ整備」がされていなかったというのが現状だろう。最近では「コストセンター」などとお荷物的な呼ばれ方をされるに至っている。日本政府の箱物行政とやり方は全く同じだ。

私は日本での滞在中、企業の「お客さま係」に電話をかける機会が多く、その度にオペレーターの対応の丁寧さに驚く。『お名前様を頂戴できますか?』などど、新しい日本語に遭遇することもある。しかし、往々にしてこちらが欲しい情報は手に入れられず、再びかけ直す際にはもう一度同じことを最初から言わなければならないことも多い。これでは何のためのCTIだか分かりゃしない。いっぽう、米国企業の顧客対応のオペレーターは総じて愛想が良いとは言えないが、ストレスを感じたことは殆どない。欲しい情報はすぐに入手できるし、こちらの言いたいことがキチンと伝わるからだ。さらに先進的な企業(FedEx、Wall-Martなど)は自動音声対応で、キーパッドを押すだけで事が足りるようにできている。

それでは、米国のようにCRMを成功に導くためには、どうしたら良いだろうか?それには先ず、コンタクト・センターの中にマーケティング部門を作るなどして受け入れ態勢の連携を深めることであり、テレマーケティングを充実させるためには、米国に見習ってトールフリーの電話番号に対する考え方も改める必要がある。

専門家の間で、CRMについて論じられることはあっても、その入り口である電話番号には無頓着である。各キャリアーは独自のプリフィックス番号(0120、0077など数十種類)を作り、業界を挙げて便利にしようなどという動きすらない。企業は企業で本当はかけて欲しくないお客様係の電話番号を語呂合わせで表示している。そろそろ、送り手側の思惑で付けられたこじつけの番号は、消費者にとっては何の意味もないことを理解するべきである。電話を掛けて欲しいのであれば(消費者の声に耳を傾けるのであれば)その姿勢を表すところから始めよ。これがテレコミュニケーションの第一歩だ。

保険やサラ金や通販などのアウトバウンドならいざ知らず、コンプレイン(クレームではない)の電話を積極的に受け入れることこそ企業のためになると理解している会社は果たしてどれだけいるのだろう?
by clairvoyant1000 | 2004-08-15 12:35 | 6)ロゴナンバー


<< 消費者の自立 インとアウト >>