米国で売られている全ての加工食品には「
ニュートリション・ファクツ」という栄養成分のラベル表示が義務付けられている。
日本の食品ラベルと大きく違うのは、その食品の一定量をくちにした際に、1日分に必要な栄養素の何パーセントを摂取できるか表示している点。
とてもイメージし易いので、慣れてくるとフード・ショッピングをする毎にラベルをチェックするのが楽しくなる。
そこで気付いたのだが、米国では栄養素という内容を重視するけれど、日本では、賞味期限や消費期限にこだわっていることからも、内容より消費する期限を重視する傾向にあるようだ。
【賞味期限】加工食品など、日持ちする商品について一定の保存状態のもとで製造者が品質を保証する期限。
【消費期限】弁当、惣菜、食肉など、だいたい5日以内で品質が悪くなる食品について安全に食べられる期限。
さて、この食品ラベルを有名人のおでこに貼るとしたらどうだろう?
背景として、米国の多くの俳優(スター)たちは、文化に根ざした職業に携っているという自負があり、実際そのように扱われているので、広告に出演して商品の販売促進に関わることは自分のイメージを下げることにつながると敬遠している。
また、TVメディアに出過ぎるのも自分のイメージをチープにしてしまうので、極力控える傾向にある。さらに俳優は、「単にルックスの良い有名人」ではなく、アーティストとして認められたいという意識もあるので、自分の顔を商品のために使われたくないというプライドを持っている。
米国の俳優に貼られるラベルには様々な内容成分が表記されるので、ファンは納得したうえでながく愛することができる。
日本ではどうだろうか?
日本のいわゆる
タレントは、TVや広告に出ることが人気のバロメーターであるようだから、とにかく顔を売ることで人気を保ち、そのステータスを保持し続ける -- つまり賞味(消費)期限を延ばすことが目的化してしまっている。そしてメディアの空気を読むことに躍起になっている。
彼らが文化人としての自覚やアーティストとしてのプライドを持てないのは、ひとえにファンがそこまで望んでいないこともあるが、残念ながら市場も彼らを育てるようなシステムを確立せずに、消費することしか考えていないからに他ならない。
かくして日本の
タレントに貼られるラベルは、中身より消味期限にこだわざるを得ない。どこかのお菓子のように、賞味期限が迫れば、ラベルの日付を貼りかえたりもする。TVや広告のチカラでその人気を保っているから、彼らの消味期限はTV番組のクールや商品のライフサイクルと同じように
短命となってしまうのだ。
夜空にまたたく星は常に輝いて欲しいと願うのが人情だが、それを流れ星にしてしまっているのは、ほかでもない「私たち」である。そしてこの哀しい状況は、昨今の日本の政治にも当てはめることができるのではないだろうか。
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