なぞなぞである。 この番号は、米国で一番有名な電話番号だ。
しかし、この番号を覚えている人は殆どいない。 それはナゼか?
ヒント:これは、世界最大の小売業ウォルマートのトールフリー(フリー・ダイヤル)だ。
つまり米国人は、企業名で「1800-WALMART」と覚えているのである。
さて、皆さんがお持ちの携帯電話のキーパッドに付記されているアルファベット配列を見てほしい。 これは、50年以上前に国際電気通信連合(ITU)が定めたもので、米国ではロータリー・ダイヤルの時代から使われている統一の規格だ。
そのころの電話局の交換手は、ベル社公認の置換表をもとに、最初の2桁の局番をアルファベットで呼んでいた。 たとえば、736-5000の場合『はい、PEnnsylvania 6-5000ですね?』 というように。 この番号は、NY市マジソン・スクエア・ガーデンの向かい側にそびえ立つペンシルバニア・ホテルの代表番号であり、1938年にヒットしたグレン・ミラーの名曲と共に、脈々と現代にも受け継がれている。
「DNS」(ドメイン・ネーム・システム)の原型ともいえるこの概念は、米国社会に深く溶けこんでおり、電話番号をアルファベットで覚える際に広く用いられている。 また、全米トールフリー番号の93%に使われていることからも分かるように、マーケティングにも多大な影響を与えているのだ。
※先進的な企業ほど、トップページにトールフリーのロゴナンバーを明記している。
米国では、単なる数字の羅列をニューメリック・ナンバーと呼び、言葉に置き換えたものをバニティ・ナンバーと呼んで区別しているが、私は後者の概念を*ロゴナンバーと命名した。 日本には、語呂合わせで数字を覚える習慣はあるが、語呂は完全でなく応用も効かなかった。 しかし、ロゴナンバーなら全てのアルファベットに対応できるし日本語にも使える。 語呂ではなく「ロゴ」つまり、企業名や商品名あるいはキャッチコピーなどのLOGOS(言葉)をナンバーにするという意味で名付けた。 日本では、フリー・ダイヤル以外に、クレジットカードの暗証番号、ナンバー・ポータビリティ後の携帯電話(2006年第2四半期)、固定電話(2007年2月)にも使えるはずだ。
私は、数字の記憶法に選択肢を増やすことは、社会生活を便利にコミュニケーションを楽しくすることにつながると思っているが、ご興味があれば変換表や**置換プログラムで自分のロゴナンバーをみつけて欲しい。
ホリスティック(包括的)なコミュニケーション方法が求められている現在、広告だけでモノは売れない時代に入っている。 こんなとき、米国マーケティングの表層的な部分だけを参考にしてもうまくはいかないだろう。 「それ」が生まれた米国の文化を理解してこそ適切に応用できるというものだ。 なによりも、電話番号をデザインする文化を日本に広めることは私のライフワークでもある。(次回に続く)