アクロニム(
acronym)は、米国の文化である。
「頭字語」とも呼ばれるこの省略法は、単語から構成される語の頭文字を繋げて作られたものだ。その歴史は古く、
OK(Okay)や、
NG(No Good)は既に1838年に使われていたそうだ。時刻の
A.M.(Ante Meridiem)、
P.M.(Post Meridiem)を表すに場合は、数字の後に付けるのが正しい。※アーミータイムに付けるのはバカ。
B.C.(Before Christ)は「紀元前」であり、世界で最も広く使われている西暦の
A.D.(Anno Domini ="In the year of our Lord")は、「主イエス・キリストの年」という意味で、今年はキリストが来てから2008年ということ。
近年では、製品名や組織名をつくる際に、あらかじめ理想的なアクロニムを作ってから構成単語をこじつける例も見うけられ、これに順じたドメインネームは既に殆ど取得されているようだ。
■ 日本で使われている気の利いたアクロニム
AMEDAS(Automatic Meteorological Data Acquisition System)
DOCOMO(Do Communications over the Mobile network)
MOTHERS(Market of The High-growth and Emerging Stock)
SUICA(Super Urban Intelligent Card)
ICOCA(I.C. Operating Card)
米国に移り住んだ当初は意味不明のアクロニムに悩まされたが、最初に覚えたのはパーティの招待状に必ず書かれている
R.S.V.P.だ。これは、フランス語のRépondez s'il vous plaît = please replyの略で、「ご返事願います」の意味。
TGIF(Thank Goodness It's Friday's.)は、「やった! 金曜日だ」と、1週間の仕事から解放された喜びを表す言葉で、カジュアル・レストランの店名にも使われている。
ASAP(as soon as possible)は既に日本でも馴染みがあると思うが、以下はどうだろうか?
書類の記入欄に書かれている
DOB(Date of Birth)は、「生年月日」のこと。中古車販売の広告欄でよく使われる
ONO(or near offer)は、「またはそれに近い値段」。不動産広告では、
BDRM(bedroom)、
BTH(bathroom)、
KIT(kitchen)がよく用いられる。
■ 状態を表すもの
NEET(Not in Employment Education or Training)「労働せず、教育を受けておらず、職業訓練もしていない者」
SINBAD(Single Income No Boyfriend And Desperate)「ひとり稼ぎでボーイフレンドがいない、やけくそな女」
今となっては懐かしい
DINKS(Double Income No Kids)は、「共働きで子供がおらず、高収入・高消費型のライフスタイルを持つ夫婦」
LOHAS(Lifestyles Of Health And Sustainability)「健康的で持続可能な生活様式」
■ 飛行機の遅延に不満を持つ利用者にとっては…
DELTA(Doesn't Ever Leave the Airport)「まともに空港を離陸したことがない」
NWA(Never We Arrive)「けして到着することがない」
ALITALIA(Always Late In Takeoff, Always Late In Arrival)「つねに離陸では遅れ、着陸も遅れる」
アクロニムが急激に普及したのは電報時代(1844年)からと想像する。電報料金を節約するためには、文字数を極力削った文章で意志を伝えることが必要だったからだ。その結果、省略形のスタンダードができあがり定着していったのだろう。この伝統は、テレックス時代を経て現在のチャットや
PDA(Personal Digital Assistant)によるeメールでの省略文に受け継がれている。
個人レベルで使わないまでも、世界であたりまえのように使われている意味不明のアルファベットの羅列を見たら、そのアクロニムの意味を調べてみる価値はあると思う。
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アクロニム・ファインダー