いやはや、DELLに振り回され続けた9月である。
1ヶ月間も自分のコンピューターに触れなかったというのは、私の20年間のコンピューター遍歴で初めの経験だ。
3年前に米国で購入し日本に持ち帰ったDELLのデスクトップのHDがクラッシュしたため、8月23日、新たにノートブックをオーダーした。通常なら10日~2週間で手元に届くことになっていたのだが、2週間経っても届かないのでカスタマー・サポートに到着予定日を電話で問い合わせると、『9月9日に発送予定です』という。
ところが、9月12日にも届かず、3週間目(9日13日)に電話をすると、今度は『とても人気のある商品なので、パーツの在庫がなく、発送の見込みが立っていなかったが、9月17日頃にはお届け予定です』という始末。
なにを今更と思いながら待った9月17日になっても届かなかった。
出る、デルと言いながら出ていない。そう、まるで「そば屋の出前」である。
さすがにアタマに来た私は、スーパーバイザーを電話口に呼び出し、CRMについて問いただした。米国デルとは雲泥の差を感じたからだ。
ニューヨークで日系企業(主に銀行)を相手にPCコンサルティングのアルバイトをしていた際、サーバーから個人ユースまで、ほとんどの場合DELLを提供した。顧客のニーズにあったスペックでアッセンブルできるし、日本語環境で使う場合でも問題なく作動するからだ。
急成長している会社は、従業員の電話応対ひとつでそれが分かる。
90年代後半のDELLのカスタマー・サポートやテック・サポートがとてもフレンドリーで好印象だったのは、考えてみればストックオプションを持っていたことによる会社へのロイヤルティの表れだったのだろう。
彼らは日本人ではないから、カスタマーに対してへりくだったり、変な期待を持たせたりしない。「ガンバル」とか「セイシンセイイ」などとも言わないし、「ゴメンナサイ」も言わない。何度も変更するスペックにもすぐにリバイスの見積書を送ってくれたし、的確なアドバイスもくれた。
つまり、フェアな対応である。
私はレイシストではないから、日本のデルのカスタマーサポートが流暢な日本語をしゃべるアジア系外国人だからといって文句を言うのではない。しかし、とても丁寧な敬語や謙譲語を巧みに操りながらも顧客への対応がいい加減であれば、そのギャップに苛立ち、慇懃無礼と感じるのは当然ではないだろうか。
フツーの消費者が「
ヤカマシイ消費者」になってしまうとすれば、それは企業による消費者対応のまずさ、つまりアンフェアな対応に依る場合もあるということだ。
「9月17日、届く見込みすら立っていない「人気のあるノートブック」をキャンセルし、すでに在庫のあるノートブックをスーパーバイザーにオーダーした。拘っていた英語キーボードは諦めざるを得なかった。
『9月20日には間違いなくお届けします』と言っておきながら、到着が3日遅れたときにはさすがに文句をいう気も失った。そして、DELLの繁栄はすでに終わっていると感じた。
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