自分の人生を「物語る」こと

a0003694_16302183.jpgこんな考え方をしていくと、そもそも心理療法というのは、来談された人が自分にふさわしい物語を援助する仕事だ、という言い方も可能なように思えてくる。

たとえば、ノイローゼの症状に悩んでいる人にとって、その症状は自分の物語に組み込めないものと言っていいのではなかろうか。たとえば不安神経症の人は、その不安が、なぜどこからくるのかわからない故に悩んでいる。その不安を自分の物語にいれて、納得がいくように語ることができない。

そこで、それを可能にするためには、いろいろなことを調べねばならない。自分の過去や現在の状況、これまで意識することのなかった心のはたらき、それらを調べているうちに、新しい発見があり、新しい視点が獲得される。その上で、全体をなるほどと見渡すことができ、自分の人生を「物語る」ことが可能となる。そのときには、その症状は、消え去っているはずである。


『物語を生きる-今は昔、昔は今-』(河合隼雄)第Ⅱ期7 物語と人間 より
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by clairvoyant1000 | 2007-07-09 10:14 | 9)心とspirit


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