再生の喜び

ニューヨークの5番街辺りで最先端のブランドを買うのも良いけれど、ちょっと趣向を変えて、*Thrift Shopでの買い物というのはどうだろう?

スリフト・ショップには、アンティークのアクセサリーやヴィンテージの服、新品同様の靴や毛皮のコートだってある。**Flea Marketと違うのは、全て寄付で賄われていること。クラス社会のニューヨークでは、金持ちがポンと寄付をしてくれるから、ガラクタに混ざって掘り出し物もけっこう多いのだ。



2ドルのレアなTシャツから、数千ドルの家具までが漫然とディスプレーされているさまは、ドンキホーテの「圧縮陳列」さながら。良い出物はウィンドウに展示されてサイレント・オークションにかける仕組みで、ウェッブ・サイトからでもビットできる。店員やディスプレーを担当するスタッフはみな活気のあるボランティア達だ。

マンハッタンに90店ほどあるスリフト・ショップのなかで、特に「ハウジング・ワークス」は、商品レベルも高く運営も活発。各地区に5店舗を有するハウジング・ワークスを梯子して発見したことは、それぞれの店に出される商品に特徴があること。つまり、そのエリアによって、寄付をする人達の生活や趣味を垣間見ることもできるのである。

アッパー・ウエスト地区:ヨーロッパ調の服が多い。プラダやフェラガモの靴がゴロゴロ並んでいた。

アッパー・イースト地区:際立ったものは無いけれど、例えば、「Grandfather Clock:$1,200」などを見ると、お金持ちがポンと寄付しているのが分かる。たしか以前の値札は$3,500だったが、元がタダだから値引きも大胆である。

ウエスト・ビレッジ地区:アンティークが充実。凄く古ぼけてはいたが、ルイ・ビトンのスーツケースを見かけた。

チェルシー地区:ゼニア、バーバリー、アルマーニなどの服が目立ち、お洒落に拘りを持っている人が多いのが分かる。靴では、コールハン、トッズ…まあ、スリフト・ショップに来る人は、ブランドには拘っていないようだけれど。

グラマシー地区:ここは、商品バリエーションがゆたかで特に家具が充実している。
私は、ここでモダンなデスクを手に入れた。コンラン・ショップで買えば1,000ドルはするようなスチール・フレームのデスク(トップはグラス)を95ドル!で買ったのだ。当日配送に90ドルかかったが、重いデスクを部屋まで運んで貰うことを考えれば妥当。目立つキズもないし状態はとても良く大満足。最初に見つけたときにサイズがあまりに大きかったので躊躇したが、部屋のレイアウトを練り直し、通い詰めた3日目に値札が100ドルを切った時点で即、購入。これでようやく、アーロン・チェアに合うデスクを手に入れることができたわけだ。

日本で十分な中古市場が成立しているのは、せいぜい自動車業界だけといわれているけれど、リサイクル型社会への需要は更に高まっていくはずだ。個人消費の拡大によって支えられているいまの日本経済も、少子高齢化が加速すればシュリンクし、量より質の時代になるだろう。古くて良い物を再び作ることは無理だから、物を大切に使って次の世代に受け継ぐことが大切だ。それを修理しているうちに愛着が湧き、はじめて自分の物となる。

スリフト・ショップでは、掘り出し物をみつけるワクワク感や、物を再生する満足感、そして寄付をする喜びを味わうことができる。ピカピカのブランド品ばかりを追いかけていると、そんな大切なことを忘れてしまう。

*Thrift Shop
スリフト・ショップのThriftとは「倹約」の意味。ハウジング・ワークスは、HIVポジティブのホームレスの人々への住居やサポートを提供するNPOプロジェクトの一環。どんなに価値のあるものでも無料で引き取るかわりに税金を控除してくれる。

**Flea Market
フリー・マーケットのfleaは「蚤(のみ)」という意味。マーケットで売られている衣類に蚤がついているという説と、蚤のように「取るに足らない物」という意味がある。※発音は同じでも、Free marketではない。
[PR]
by clairvoyant1000 | 2006-01-23 04:03 | 8)文化とcalture


<< #16:GAPを利用した人 #15:屋上の使いみち >>