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無理があるプロダクト・プレースメント

先日のNYタイムズに、プロダクト・プレースメント(以下PPT)に関する最新記事が掲載されていたのでご紹介。メディア調査会社によると、2004年度に米企業がPPTに費やした金額は、合計で34億5,000万ドル(3,995億円)となった。メディアの内訳は以下のとおり。(ちなみに、2004年の総広告費は2,440億ドル)
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TV:18億8,000万ドル(2,177億円)
映画:12億5,000万ドル(1,447.5億円)
その他:3億2,600万ドル(377.5億円)
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導入事例として、CBSの人気ドラマYes, Dearの劇中場面に、提供スポンサーであるClubクラッカーの箱がデジタル挿入されている。

無理があるプロダクト・プレースメント_a0003694_23295791.jpgこのような例は一般的ではなく、どのように挿入するのが最も効果的(かつ望ましい)かについては、未だTV業界でも模索中といったところだが、時が経つにつれてより巧妙に挿入されるだろうと関係者は予想する。

ふつう我々は、コカコーラの缶をバスルームの洗面台には置かないだろう。つまり、スクリプト上論理的でなければならず、「それ」が生活の風景の一部として収まっているのが理想的なはずだ。しかし、視聴者が気付かないほど「自然に」その商品が「意図的に」デジタル挿入されているとして、それがどれほどの広告効果があるかは甚だ疑問である。(まさかサブリミナル効果を期待しているわけでもあるまい)現在のところは、送り手側のモラルとセンスがPPTの乱用を阻んでいるといった段階のようだ。

ここまで書いたが、日本でTVコマーシャルや番組制作に携わってきた者としてこの先のブランデッド・エンターテインメントを予想すれば、映画界で実践されているような戦略的な手法なら可能性はあるだろうが、姑息な方法でのPPTは根付かないということ。

番組中に脈略のない商品をムリヤリ挿入すればするほど、視聴者は「商品を買うどころか反感を買う」だけだろう。そんなことに労力を使うより、見るに値する良質のTV番組を作ることに注力してこそ、その提供スポンサーのセンスの良さや度量の深さに視聴者は共感してその企業にロイヤルティを持つのではないだろうか。
by clairvoyant1000 | 2006-01-04 23:33 | 2)媒体とmedia


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