TVでデジャビュ

いささか旧聞に属する話しだが、今夏、DVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)の普及がTV視聴に与える影響について3つの調査結果が発表された。それぞれ違う主張をしており興味深い。野村総研は「録画済み番組の平均CMスキップ率は64.3%で約540億円の損失」と試算。矢野経済研究所は「HDDレコーダ利用者はTV視聴が週2時間増、CMスキップ率は約7割」。電通は「DVRユーザーこそコマーシャル・メッセージを浸透させる上で効果的なターゲット・グループ」と結論付けている。



どれも然りだろう。いずれにしても、再生して見るに値するTV番組やその番組を提供するセンスの良いスポンサーの広告であればスキップなどされず視聴頻度も増えるわけであり、そのような番組やコマーシャルが増えることを望みたい。世帯普及率は15%程度らしいが、DVRは新しい録画技術というより、「現代のTV視聴のスタイル」という考え方が正しいと思う。

ところで、TVで「デジャビュ」(既視感)の経験はおありだろうか?TV番組を見ているときにコマーシャルを挟んで同じ場面(数十秒間)が繰り返して放送されるアレだ。かつてのB級サスペンスのような手法を「内容水増し」や「ザッピング対策」と見る向きも多いだろうが、TV番組をリアルタイムで見ないDVRユーザーを考慮したお節介な手法だと私は解釈している。余計なスーパーを表示するのも同じような理由だろう。

FEDEX.jpg前振りが長くなったが、ここで「プロダクト・プレースメント」の登場だ。この手法は、ハリウッドでは20年以上も前から制作費を捻出するために用いられており、最近ではトム・ハンクス主演の「キャスト・アウェイ」(2000年)がプロダクト・プレースメントを嫌味なく取り入れた映画の好例だ。更に、FedExでは映画の上映時期に合わせてTVコマーシャルで見事なマーケティングを展開した。(FEDEX-1049をクリックすると、WMVで見ることができます)
 
TVにおけるプロダクト・プレースメントの影響は、デジタル処理で自由自在に商品を合成できるようになったこと。そして、新しいオブジェクト追跡技術により、視聴者はTV番組の一場面に出てきた商品をクリックすることで、その詳細情報を見たり、リモコン操作でそれを購入したりすることも可能になるということ。このような現象に「番組と広告との境界が曖昧になる」という批判の声が上がるのも確かだが、最近の視聴者はTV番組で何が行われているかを良く知っており、スポンサーが様々な方法で視聴者にアプローチしようとしていることも分かっているはず。
 
もはや、映像の合成は制作者の思いのままだが、このような手法が受け入れられるかどうかは、送り手側のモラルとセンス如何だろう。
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by clairvoyant1000 | 2005-12-15 22:40 | 2)媒体とmedia


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