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ゼロリスク症候群

「ハンナン事件」も所詮は農水省が蒔いた種だが、いまもなお続くBSE問題の原因は、行政当局の失策やマスメディアのミスリードもさることながら、ダウナー消費者のゼロリスク症候群によるものだと思う。この症候群によるパニックは、発症後の治療が難しい「社会的な疾病」であり一番深刻な問題だ。



検査をしない牛肉を食べるとヤコブ病に発症するかも知れないと思ってしまう理由は、「人間の大脳生理学的に説明がつく」と、学術会員の教授は言う。脳の辺縁系が働いて理解できないものや悪い噂に対して直感的に避けようとするため「安全情報より危険情報を信じる傾向」になる。これは人間が持っている自己保存本能の働きによる自然な反応だという。だから、感情的になるのを避けて理性的に判断をすれば、前頭連合野が働いて不安は解消される。

人間は感情的に「100%安全であるべき」と期待してしまう。が、実際に100%の安全など有り得ないから危険を減らす努力をする。しかし、費用には限度があるので「費用対効果」を計算しなければならない。日本学術会議は、「今こそ全頭検査を見直す時期」に来ていると判断し、日本政府に勧告しているのだ。

教授の論文からブログにいたるまで情報ソースは様々。本能的に衝撃を受けた情報を信じてしまうのは人の常。巷にはそんなネタが氾濫しているが、それらはジャーナリズムではなく「センセーショナリズム」という。ダウナー諸君はそのようなソースを好んで読み一喜一憂しているが、これはBSE問題に限ったことではない。食行政の失政が繰り返されるのは、ダウナー消費者がいつまでたっても自立しないからだ。ゼロリスクや安全神話、リスク・コミュニケーションはこうしたギャップを埋めることに役立つだろう。

イラクで拉致、開放された人達の「自己責任」が問われているが、全頭検査を支持する輩は自己責任が取れない(取りたくない)平和ボケの国民である。
by clairvoyant1000 | 2004-04-20 01:45 | 4)牛肉とbeef


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