かつて電話番号は、数字ではなく2個のアルファベットだった。その文字は、電話交換局の交換名として、
73 は
PEnnsylvania、
69 は
OXford、
86 は
UNiversityなどと使われていた。つまり、単語の略語だったのだ。
1938年にヒットしたグレン・ミラーの名曲「
PEnnsylvania 6-5000」。これは、マンハッタンのMSG(マディソン・スクエア・ガーデン)の向かい側にあるペンシルバニア・ホテルの電話番号だ。この曲のおかげで、ホテルの電話番号はいまも変わらず、「
736-5000」が使われている。
1954年に上映された映画、アルフレッド・ヒッチコック監督の「ダイヤルMを廻せ!」。「M」はアルファベットの13番目の不吉な数字であり、
Murder(殺人者)の頭文字でもある。そして殺人決行の夜。主人が妻にかけた電話の最後に廻したダイヤルが「
M」(
6)だったのだ!
1960年、リズ・テーラーは「
BUtterfield-8」に主演した。彼女の役であるグロリアは、モデルが本業でありながらじつは「バターフィールド8番」という電話番号(
28-8)で呼び出されるコールガールでもあった。様々な男に体を売るグロリアだったが、妻子ある男を本気で愛し…。
このように、
電話番号が言葉だった時代には様々な物語が生まれていたのだ。